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選択制確定拠出年金が認められる法的な根拠
企業型確定拠出年金の導入方法の一つである『選択制確定拠出年金』については、以下の2点が非合法や脱法行為ではないかという質問がよく出てきます。
ここでは、その質問に対しての法的根拠について説明していきます。
【質問1】 企業型確定拠出年金は全従業員の加入が前提なのに、加入するか否かを従業員に選択させることは問題ではないか?
会社が掛金を拠出する企業型確定拠出年金は、福利厚生的観点から一定の条件のもと全従業員が加入するものと誤解されている方が多くいらっしゃいます。しかし、『確定拠出年金法』の記載内容や厚生労働省が平成13年8月に通知している確定拠出年金制度の法令解釈に関する通達には、加入者となることを希望した者のみが企業型確定拠出年金の加入者となることを認めています。
では、記載されている法令を見ていきましょう。
確定拠出年金法では、企業型年金規約に記載しなければいけない事項を定めています。
確定拠出年金法 【一部抜粋】
第二章 企業型年金第一節 企業型年金の開始
第一款 企業型年金規約
(規約の承認)
第三条 厚生年金適用事業所の事業主は、企業型年金を実施しようとするときは、企業型年金を実施しようとする厚生年金適用事業所に使用される被用者年金被保険者等の過半数で組織する労働組合があるときは当該労働組合、当該被用者年金被保険者等の過半数で組織する労働組合がないときは当該被用者年金被保険者等の過半数を代表する者の同意を得て、企業型年金に係る規約を作成し、当該規約について厚生労働大臣の承認を受けなければならない。
2 二以上の厚生年金適用事業所について企業型年金を実施しようとする場合においては、前項の同意は、各厚生年金適用事業所について得なければならない。
3 企業型年金に係る規約においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 企業型年金を実施する厚生年金適用事業所の事業主(第四十七条第五号、第七十条、第七十一条及び第七十八条を除き、以下「事業主」という。)の名称及び住所
二 企業型年金が実施される厚生年金適用事業所(以下「実施事業所」という。)の名称及び所在地(厚生年金保険法第六条第一項第三号に規定する船舶(以下「船舶」という。)の場合にあっては、同号に規定する船舶所有者の名称及び所在地)
三 事業主が運営管理業務の全部又は一部を行う場合にあっては、その行う業務
四 事業主が第七条第一項の規定により運営管理業務の全部又は一部を委託した場合にあっては、当該委託を受けた確定拠出年金運営管理機関(第八十八条第一項の登録を受けて確定拠出年金運営管理業を営む者をいう。以下同じ。)(第七条第二項の規定により再委託を受けた確定拠出年金運営管理機関を含む。)の名称及び住所並びにその行う業務
五 資産管理機関の名称及び住所
六 実施事業所に使用される被用者年金被保険者等が企業型年金加入者となることについて一定の資格を定める場合にあっては、当該資格に関する事項
七 事業主が拠出する掛金(以下「事業主掛金」という。)の額の算定方法に関する事項
八 運用の方法の提示及び運用の指図に関する事項
九 企業型年金の給付の額及びその支給の方法に関する事項
十 企業型年金加入者が資格を喪失した日において実施事業所に使用された期間が三年未満である場合において、その者の個人別管理資産のうち当該企業型年金に係る事業主掛金に相当する部分として政令で定めるものの全部又は一部を当該事業主掛金に係る事業主に返還することを定めるときは、当該事業主に返還する資産の額(以下「返還資産額」という。)の算定方法に関する事項
十一 企業型年金の実施に要する事務費の負担に関する事項
十二 その他政令で定める事項
確定拠出年金法第3条第3項第6号に記載のある『一定の資格』について、厚生労働省が通知した法令解釈では以下のように記載されています。
確定拠出年金法並びにこれに基づく政令及び省令について(法令解釈)【一部抜粋】
第1 企業型年金規約の承認基準に関する事項企業型年金規約の承認基準については、確定拠出年金法(以下「法」という。)第3条第3項及び確定拠出年金法施行令(以下「令」という。)第6条に規定しているところであるが、企業型年金加入者の範囲(「一定の資格」の内容)、事業主掛金の算定方法、事務費の負担及び企業年金制度等からの資産の移換に関する事項については、それぞれ次の取扱いとすること。
1.企業型年金加入者とすることについての「一定の資格」の内容
(1)法第3条第3項第6号中の「一定の資格」として定めることができる資格とは、次の(1)から(4)に掲げる資格であり、これら以外のものを「一定の資格」として定めることは、基本的には特定の者に不当に差別的な取扱いとなるものであること。
(1)「一定の職種」
「一定の職種」に属する従業員(企業型年金を実施する厚生年金適用事業所に使用される被用者年金被保険者をいう。以下同じ)のみ企業型年金加入者とすること。
(注)「職種」とは、研究職、営業職、事務職などをいい、労働協約若しくは就業規則又はこれらに準ずるものにおいて、これらの職に属する従業員に係る給与や退職金等の労働条件が他の職に属する従業員の労働条件とは別に規定されているものであること。
(2)「一定の勤続期間」
実施事業所に使用される期間(いわゆる勤続期間)のうち、「一定の勤続期間以上(又は未満)」の従業員のみ企業型年金加入者とすること。
(3)「一定の年齢」
実施事業所において企業型年金を実施するときに、「一定の年齢未満」の従業員のみ企業型年金加入者とすること(合理的な理由がある場合に限る。)。
(注)一定の年齢で区分して加入資格に差に設けることは、基本的には合理的な理由がないと考えられることから認められないが、企業型年金の開始時に50歳以上の従業員は、自己責任で運用する期間が短く、また、60歳以降で定年退職してもそのときに給付を受けられないという不都合が生じるおそれがあることから、50歳以上の一定の年齢によって加入資格を区分し、当該一定の年齢以上の従業員を企業型年金加入者とせずに、当該一定の年齢未満の従業員のみ企業型年金加入者とすることはできるものであること。
なお、見習期間中又は試用期間中の従業員については企業型年金加入者としないことができるものであること。
(4)「希望する者」
従業員のうち、「加入者となることを希望した者」のみ企業型年金加入者とすること。
(2)企業型年金加入者とすることについて「一定の資格」を定める場合には、基本的には、
ア 上記(1)の(1)及び(2)に掲げる場合においては、企業型年金加入者とならない従業員については、厚生年金基金(加算部分)、適格退職年金又は退職手当制度(退職手当前払い制度を含む。)が適用されていること
イ 上記(1)の(3)及び(4)に掲げる場合においては、企業型年金加入者とならない従業員については、退職手当制度(退職金前払い制度を含む。)が適用されていること
とするとともに、当該制度において企業型年金への事業主掛金の拠出に代わる相当な措置が講じられ、企業型年金加入者とならない従業員について不当に差別的な取扱いを行うこととならないようにすること。